今回は、フクイベナートルをご紹介します。
基本情報ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前:フクイベナートル・パラドクサス
学名:Fukuivenator paradoxus
分類:獣脚亜目マニラプトラ形類
時代:白亜紀
場所:日本福井県
体長:約2.5m
食性:不明(雑食もしくは草食?)
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フクイベナートルは、2007年に福井県勝山市で発見された獣脚類の恐竜です。
フクイベナートルの由来は「福井の狩人」です。
"フクイ"=福井
"ベナートル"=狩人
小さな頭部や長い尾が特徴的ですね。
また、パラドクスの由来は「逆説の」です。
尾がピンと伸びているといった原始的な特徴と、後述する歯などの進化型の特徴を併せ持っていることから、パラドクサスと名付けられています。
福井県勝山市北谷町の手取層群赤岩亜層群北谷層から2007年に発見されました。
全身の70%の骨が発見されたのです。
1体分の骨がこれだけたくさんまとまって発見されたのは非常に貴重ですね!
獣脚類といえば、ティラノサウルスやヴェロキラプトルなど、肉食の恐竜を思い浮かべがちですよね。
しかし、フクイベナートルはどうやら肉食ではなかったという説が有力になってきています。
その根拠の一つとなっているのが歯です。
獣脚類の歯は、"鋸歯"と呼ばれるギザギザした形状になっていて、肉を切り裂くのに役立っていました。
フクイベナートルは、この鋸歯を有していないのです。
また、雑食・草食恐竜に見られるように、頭部が小型化しています。
これらの特徴から雑食性もしくは草食性と考えられているのです。
一方、身体には羽毛が生えていた可能性が高いとされています。
羽毛の痕跡が発見されているわけではありませんが、分類からその可能性が指摘されています。
こちらの復元ロボットも全身羽毛で覆われています。
小柄、草食、羽毛と可愛らしい印象さえあるフクイベナートルですが、かなり鋭い爪を持っています。
攻撃的な肉食獣脚類の名残を感じさせられます。
さらに平衡感覚や聴力も恐竜の中では比較的優れていたということが分かっています。
そんなことまで分かるなんて、古生物研究は素晴らしいですね!
"フクイ"の名が付いた恐竜という時点で、親しみを感じられるフクイベナートル。
1体の多数の部位の化石が発見されたことで、古生物研究においても貴重な情報源と言えるでしょう。
今後も発掘済の化石に関する研究が進んだり、フクイベナートルの新たな化石が発見されたりして、特徴や習性などに関する新情報が発表されるかもしれません。
楽しみですね~♪
★フクイベナートルに会える場所
・福井県立恐竜博物館 一部化石、不可動型復元模型
★フクイベナートルに会えたイベント
・2021年 恐竜展2021(東京ドームシティ)
動画もご覧ください。