今回は、茨城県自然博物館で開催している企画展"いのちの色 —世界をいろどる生きものたちー"をご紹介します。
イベント概要ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
イベント名:企画展 いのちの色-世界をいろどる生きものたち-
開催期間:2023年2月18日~6月11日
料金:一般750円、70歳以上370円、高校・大学生460円、小・中学生150円
目玉展示:尾に羽毛の痕跡があるプシッタコサウルスの全身骨格レプリカ
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今年の古生物イベントもここからスタートです。
思い返せば、2021年が企画展"化石研究所へようこそ~古生物学のすすめ~"、2022年が企画展"ミュージアムパークコレクション コレなに?コレみて!自然の宝、大公開!"から始まりました。
2月は古生物イベントが非常に少ない時期ですので、とってもありがたいんですよね~♪
こちらがポスターです。
色に焦点を当てた企画展だけに、ポスターもカラフルです。
開催日は2023年2月18日~6月11日までです。
たくさんの現生動物たちの中にドードーが写っています。
HPなどにもドードーの姿しかなく、他にどんな古生物が展示されているかは、訪れてからのお楽しみでした。
今回は、開催初日、しかも開催時間に合わせて来ましたよ~!
ということで、恒例のくす玉割りも見学しました。
くす玉を割る紐が下に垂れ下がっていますが、これを引っ張る方の中には来館客のお子さんも入っていました。
素晴らしい!
くす玉は見事に割れて、企画展名の垂れ幕が姿を現しました。
このくす玉の後ろには企画展会場があります。
こちらも恒例の派手な入場口です。
ポスターもそうでしたが、今回は特にカラフルで派手ですね~!
企画展会場へ入場しました。
いきなり登場するのは美しく虹色の2種。
変形菌のジクホコリとニジキジです。
この菌を拡大して見るとこんな鮮やかな色合いをしているのですね。
ニジキジは、オスメスで色合いが全く異なります。
これは自然界でよくある傾向ですね。
少し進むとニシキエビがいます。
部位ごとに色が異なりますね。
頭部から尾びれにかけて寒色から暖色へと変化していくような配色です。
その横の植物はレインボーユーカリです。
展示している実物では分かりませんが、横にある画像では絵の具をべったりと塗ったかのような様々な色が折り重なった特徴的な配色が分かります。
今回の企画展は、7つの章で構成されています。
第1章は"色の名前"がテーマです。
生きものの色を作る構造色と色素色の解説。
該当する生物の標本や画像などが展示されています。
こちらは色素色の動植物たちです。
こちらは構造色のモルフォチョウやタマムシの標本です。
光を受けて色鮮やかに輝いていますね。
色の数値化です。
色の数値化は様々な方法がありますよね。
ここではマンセル値が紹介されています。
グラデーションの順に赤色から始まって紫色まで動植物の標本が展示されています。
会場で見ると凄いインパクトで目玉展示と言えます。
第2章は"動物たちが見ている世界"です。
色を感じ取る側の機能が紹介されています。
眼の進化を紹介するコーナーです。
眼の進化を4段階に分けて解説しています。
①段階:光を感じる眼点⇒⓶段階:眼点が奥に入りくぼむ⇒③段階:くぼみ縮小⇒④くぼみにレンズ付加
それぞれの段階を代償する生物の画像・標本が展示されています。
①段階はミズクラゲ、⓶段階はカサガイです。
③段階はオウムガイ、④段階はホタルイカです。
そして、目の進化を紹介するコーナーで、早くも古生物が登場します!
完全複眼及び集合複眼を持つ三葉虫です。
まずは、完全複眼を持つパラレユルスです。
続いて、集合複眼を持つファコプスです。
第3章は"生きものの色とふしぎ"です。
警告色を持つ生きものとしてスズメバチの大きな復元模型がお出迎えです。
スズメバチやアシナガバチの配色が似ているのは、毒を持つ生きものの配色パターンが類似する「ミューラー型擬態」の典型例だそうです。
その手前にいるアカハライモリの腹部の赤色と背の黒色の配色も警告色だそうです。
警告色を持つ生きものの標本展示です。
その隣は、保護色を持つ生きものの標本展示です。
さらにその隣は、紫外線の反射の違いにより雌雄で色が異なって見える特徴を持つモンシロチョウの展示です。
出ました!雄のインドクジャクです!
頭部も身体も羽も全てがきらびやかです。
この企画展には欠かせない存在ですね!
こちらは青く輝く翼を持ったカワセミです。
広げた翼をじっくり観察できます。
第4章は"生きものの色とヒト"です。
生物由来の染料が紹介されています。
生きものの色素を利用して様々な染料が作られていたのですね!
こちらは茨城県自然博物館の野外施設に生育する植物で草木染めをした結果を展示したものです。
草木40種×媒染剤5種×布3種の600通りが展示されています。
組み合わせにより様々な色を作れるのですね。
第5章は"自然にない色を求めて"です。
品種改良によって自然にはない色の生きものを生み出してきた歴史や技術が標本とともに紹介されています。
ここでは色とりどりのバラが展示されています。
どれも個性的で魅力的な色をしていますね♪
さぁ、いよいよ来ました!
第6章は"失われた生きものの色"です。
古生物たちがどういった色をしていたのか、現在わかっている情報が紹介されています。
まず登場したのがポスターにも記載されていたドードーです。
ドードーは人類と生活を共にした数少ない古生物です。
つまり人類がその姿を見ているわけで、色についても記録が残っているのです。
文献や絵画から灰色もしくは褐色の羽毛だったそうです。
常設展示のドードーの全身骨格とともに、絵画も展示されていました。
こちらはカンブリア紀に生息したマルレラです。
大きさは2cmくらいです。
殻に生えたトゲには微小な溝が配列しています。
この微小なにより虹色の光沢があったと考えられているそうです。
第1章で紹介されていた構造色ですね。
続いてシノサウロプテリクスです。
羽毛にメラニン色素を含むメラノソームの痕跡が見つかったことで有名ですね。
こちらは全身骨格のレプリカです。
そしてこちらは復元模型です。
化石から発見されたメラノソームから推定される羽毛の色が再現されています。
ミクロラプトルです。
とても小柄な恐竜ですね。
こちらもメラノソームの痕跡が発見されたそうです。
光を反射し虹色の光沢のある黒っぽい羽毛をもっていたそうです。
コンフシウソルニス(孔子鳥)です。
白亜紀前期の中国に生息した鳥類ですね。
翼や喉、トサカに斑点模様があったようです。
さらに尾羽が暗い色をしていたことも分かっているそうです。
プシッタコサウルスです。
こちらはレプリカですが、非常に状態の良い化石です。
尾に羽毛が生えているのがはっきり分かりますね。
プシッタコサウルスは背中側が暗い色、腹部が明るい色をしていたそうです。
この標本により恐竜がカモフラージュ効果のある体色をもっていたことが分かったそうです。
ステノプテリギウスです。
迫力の実物化石です。
小さな個体は全身黒く、大型個体はカウンターシェーディングをもっていたと研究結果があるそうです。
プリオプラテカルプスです。
メラニン色素の痕跡が見つかっていることから、黒色の色素をみっていたとされています。
古生物コーナーが終わり、いよいよ最終章です。
第7章 "いのちの色を守るために"です。
色の名前の由来となった生きものたちがすでに絶滅していたり、絶滅の危機に瀕していると紹介されています。
こちらはタイマイです。
タイマイの甲羅は鼈甲と呼ばれて装飾用の材料として使われて来たそうです。
しかし、乱獲やプラスチックの誤飲で急速に数を減らしているそうです。
こちらはアカウミガメです。
成長するにつれて甲羅が赤褐色になるそうです。
タイマイと同様にその数は減少傾向にあります。
私は古生物が好きですが、これ以上絶滅種は増えて欲しくないですね!
やっぱり見応えがあった茨城県自然博物館の企画展"いのちの色"。
古生物もたくさん見ることができ、最後は考えさせられるイベントでした。
動画もご覧ください。